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実行予算とは?工種別の作り方とエクセル無料テンプレート【建設業向けお役立ちコラム】

実行予算という言葉の意味だけなら、調べればすぐ出てきます。現場で本当に困るのは、どういう単位で組めば工事中に使える予算になるのかという点ではないでしょうか。この記事では、実行予算を「工種別に組み、工種ごとに発注先を紐づけ、発注残まで含めて残高を見る」という実務のやり方に絞って解説します。そのまま使える無料エクセルテンプレートも、登録不要でダウンロードできます。

実行予算とは

実行予算とは、工事1件ごとに「この工事をいくらの原価で仕上げるか」を着工前に決めた社内向けの予算のことです。その内訳をまとめた書類を実行予算書といいます。

用語 中身
積算 図面や仕様から必要な数量と費用を算出する作業。見積・実行予算どちらの土台にもなる
見積書 発注者に提示する請負金額(社外向け・販売価格)
実行予算 社内で守る原価の上限(社内向け・原価)。受注後、着工前に作る

請負金額 - 実行予算 = 予定粗利益
この式が着工前に成り立っているかを確認するのが、実行予算を組む目的です。

注意したいのは、見積書をそのまま実行予算に流用してはいけないということです。見積書は販売価格でできているため、そのまま予算にすると、利益として残すはずの金額まで「使ってよい原価」に見えてしまいます。単価は必ず仕入単価・外注単価に置き換えて組み直します。

実行予算は「工種別」に組む

実行予算をどの単位で組むかで、その後の使い勝手が決まります。現場で使うことを考えるなら、工種別——つまり仮設・基礎・躯体・内装・電気設備といった、工事が進む単位で組むのが基本です。

理由はシンプルで、現場は工種の順番で進むからです。工種別に組んでおけば、工事の進み具合と予算の消化具合が対応します。「躯体まで終わったのに予算を6割使っている」といった判断が、その場でできるようになります。

そして何より、予算が超えたときに打ち手が具体的になります。「原価が予算を50万円超えた」だけでは動けませんが、「躯体工事の構造材が50万円超えた」とわかれば、次工程の内装で吸収するか、施主に変更として出すか、判断できます。

工種は、大きく分けたうえで、必要なところだけ細かくするのがコツです。最初から細かく分けすぎると、入力も集計も続きません。

工種(大分類) 内訳・摘要の例
仮設工事 外部足場、養生、仮設トイレ
基礎工事 掘削・残土処分、基礎コンクリート、鉄筋
躯体工事・木工事 構造材・プレカット、建方、造作
屋根防水・外装工事 屋根葺き、板金、サイディング
内装工事・建具工事 クロス、床仕上、建具・サッシ
設備工事 電気配線・器具、給排水・住設機器、空調
現場経費 重機リース、運搬、現場管理費
予備費 手戻り・天候不順に備えた枠

現場経費と予備費の行を最初から入れておくのが重要です。この2つが抜けている実行予算は、ほぼ確実に足りなくなります。

工種に「発注先」を紐づけると、実行予算が発注計画になる

工種別に金額を出したら、次はその工種を誰に頼むかを1行ずつ書き添えます。この一手間で、実行予算書の性格が変わります。

  • そのまま発注計画になる:どの協力会社に、いつ、いくらで注文書を出すかが、着工前に一覧になる
  • 発注忘れ・相見積漏れに気づける:発注先が空欄のまま残っている工種が、まだ手配できていない工種
  • 発注先ごとの金額が見える:同じ協力会社が複数工種に入っている場合、その会社への発注総額がわかる

外注比率が高い会社では、工種ではなく仕入先(協力会社)別に実行予算を組むやり方もあります。工事の中身より「誰にいくら出すか」で管理したい場合はこちらが向きます。どちらで組むかは会社の工事のかたち次第ですが、迷うなら工種別から始めて、発注先を紐づけておけば両方の見方ができます。

予算残高は「発注残」まで含めて見る

実行予算を組んでいる会社でも、工事の途中で採算を読み違えることがあります。その原因のほとんどが、支払った金額だけを予算と比べていることです。

注文書を出した時点で、その金額はもう確定しています。まだ請求が来ていないだけで、支払わないという選択肢はありません。ところが実績原価(仕入計上)だけを見ていると、この分が予算の残りに見えてしまいます。

たとえば、実行予算1,200万円の工事で、次のような状態だとします。

項目 金額
実行予算 12,000,000円
仕入済(請求が上がった分) 5,210,000円
発注済(注文書を出した分) 6,450,000円
うち発注残(確定しているが未払い) 2,220,000円

仕入済だけを見れば「あと679万円使える」ように見えます。しかし発注残222万円は使い道がすでに決まっています。実際にこれから発注できるのは約457万円です。この222万円を残りの工種で使えると思い込んだまま進めると、最後にまとめて赤字が出ます。

予算残高 = 実行予算 -(発注済と仕入済のうち大きい方)
工種ごとにこの残高を見れば、どの工種でいくら使えるかが正確にわかります。

「発注済と仕入済のうち大きい方」としているのは、注文書を出さずに仕入が立つケース(追加分の直納など)を取りこぼさないためです。この考え方で見ておくと、工事の途中でも着地見込みが読めるようになります。

実行予算の作り方【4ステップ】

  1. 見積を工種に割り直す
    見積書の数量はほぼそのまま使えますが、単価は販売価格なので使えません。仕入単価・外注単価・自社の労務単価に置き換えながら、工種ごとに並べ直します。見積で「1式」にまとめた項目は、発注できる単位まで分解します。
  2. 工種ごとに発注先と金額を決める
    可能な範囲で協力会社から見積を取り、根拠のある金額にします。まだ決まっていない工種は、過去の類似工事の実績で仮置きし、備考に「相見積中」と書いておきます。
  3. 現場経費と予備費を入れる
    重機リース・運搬・現場管理費といった経費は、工種の中に埋もれると抜けます。独立した行として持ちます。予備費は請負金額の1〜3%程度を目安に、手戻りや天候不順に備えて確保します。
  4. 予定粗利率を確認し、承認して確定させる
    「請負金額 - 実行予算合計」が目標粗利益に届いているかを確認します。届かなければ、工法・仕様・発注先の見直しを検討します。着工前が最後の調整点です。承認が下りたら、その金額を当初予算として別に残しておきます。

実行予算書エクセルテンプレート(無料ダウンロード)

ここまでの考え方をそのまま形にした実行予算書のテンプレートをご用意しました。登録不要・無料でダウンロードできます。

  • 工種別に1行ずつ入力。工種はプルダウン(仮設工事/基礎工事/躯体工事/内装工事/設備工事など16種)から選択でき、数量×単価で実行予算を自動計算
  • 発注先・仕入先の列つき。そのまま発注計画として使えます
  • 発注済・仕入済を入れると、発注残と予算残高が自動計算。予算を超えた工種はマイナス表示でひと目でわかります
  • 工種別集計と発注先別集計を自動作成。どの工種・どの協力会社で予算を超えているかが確認できます
  • 当初予算との差、着地見込粗利率まで自動計算
  • 内訳50行・入力例つき・使い方シートつき
実行予算書テンプレートをダウンロード(Excel)

※Excel 2016以降・Microsoft 365で動作確認済み

工事1件ごとの原価明細(いつ・どこに・いくら払ったか)まで管理したい方は工事台帳テンプレート、全工事の採算を一覧で見たい方は工事原価管理表テンプレートもあわせてご利用ください。

当初予算と変更後の実行予算は分けて持つ

工事が始まれば、追加工事も設計変更も出ます。そのとき実行予算を上書きしてしまうと、当初の見込みとの差が消えます。予算をこまめに直すほど、いつも「予算ぴったり」の予算書ができあがり、何が読み違いだったのかがわからなくなります。

承認時の金額は当初予算として残し、変更は行を足すかたちで反映して、両方を並べて見られるようにしておきます。工事が終わったあとに「当初予算に対して、どの工種がどれだけ膨らんだか」を振り返れることが、次の見積の精度につながります。実行予算の本当の価値は、1件の工事を守ることよりも、その積み重ねで見積が当たるようになることにあります。

エクセルで実行予算を管理するときの限界

エクセルなら追加コストなしで実行予算を始められ、工事件数が少ないうちは十分に機能します。一方で、件数が増えると次のような課題が出てきます。

  • 発注・仕入の二重入力:注文書や請求書で入力した金額を、予算書にもう一度手で転記することになる
  • 発注残が追いきれない:注文書を出した分を予算書に転記し忘れると、予算残高が実態より多く見える
  • 会社全体が見えない:今どの現場のどの工種が予算超過しているかを見るには、ファイルを1つずつ開くしかない
  • 変更履歴が残らない:追加工事のたびに版が増え、どれが承認済みの当初予算かわからなくなる

工種別の実行予算と発注残を、転記なしで管理したいなら

「レッツ原価管理Go2」なら、工種別・仕入先別のどちらでも実行予算を入力でき、工種は3階層まで管理できます。見積書から実行予算を自動作成でき、発注書から仕入伝票を自動生成して発注残を管理当初予算と実行予算を分けて管理できるため、変更のたびに当初の見込みが消えることもありません。進行中の工事は原価モニターで予算実績を確認でき、転記なしで今の予算残高と粗利がわかります。

まずは資料だけ見たい方は資料請求(無料)へ。

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まとめ

実行予算は、工事1件ごとに「いくらの原価で仕上げるか」を着工前に決める社内向けの予算です。現場で使える実行予算にするには、工事が進む単位である工種別に組み、工種ごとに発注先を紐づけ、工事中は発注残まで含めた予算残高で見ること。そして当初予算を残して振り返れるようにしておくこと。この3つで、実行予算は「作って終わりの書類」から「利益を守る道具」に変わります。まずは無料テンプレートで、次の工事を1本組んでみてください。